
写真家・ローカルフォト主宰:MOTOKO
こんにちは。
カメラを片手にまちを歩いてみると、いつもの風景が少し違って見えてくる。「ふじさきローカルフォトアカデミア」は、そんなささやかな発見を大切にしてきた活動です。
今回は、2023年度のアカデミアをふりかえりながら、ローカルフォトの魅力をご紹介します。
ローカルフォトは、地域に暮らす人がカメラを手に、いつものまちを再発見することからはじまります。令和5年度の第2期には、継続参加者を含む16名が集まり、にぎやかで実践的な一年となりました。活動を通して、多くのローカルヒーローとの出会いも生まれています。

「撮る」から始まる、まちとの関わり
この取り組みの原点は、2014年に香川県・小豆島で始まった「小豆島カメラ」です。
当初は、SNSで地域の暮らしを発信し、関係人口や観光、移住につなげることが目的でしたが、10年を経て、活動のかたちや関わる人々も少しずつ変化しています。
現在のローカルフォトは、単なる「写真の発信」にとどまりません。
参加者は、写真を通じて地域とつながり、地元のプロジェクトやイベントにも積極的に関わるようになっています。
写真に写る「ローカルヒーロー」も、ただの被写体ではなく、まちの魅力を伝える“案内役”。まちを支え、ともに育んでいく仲間です。


スマートフォンの普及で、誰でも気軽にきれいな写真が撮れる今、ローカルフォトの活動は「写真」の枠を越えて広がっています。デザインや建築など他分野とのつながりも生まれ、写真をきっかけに、地域と多様な分野をつなぐ“ハブ”のような存在になりつつあります。
自分らしく働き、暮らす。ゲスト講師から学ぶヒント
アカデミアに欠かせないのがゲスト講師の存在です。第2期には、地域でユニークな活動をしている3名をお招きしました。愛知県岡崎市で飲食店を営む山崎翔子さん、東京で建築とカフェを手がけるアリソン理恵さん、香川県小豆島で農家カフェを主宰する三村ひかりさん。いずれもデザインや建築に携わりながらお店を運営しています。講師たちはアカデミアを形づくり、まちづくりの流れを牽引する存在でもあります。

彼女たちは、私たちより少し先を歩く、自分らしさを大切にした生き方の実践者です。
特に女性の受講生にとって、「こんな生き方もあるんだ」と視野を広げるきっかけになっています。
まち歩きで出会ったローカルヒーローも、みなさん魅力的な方々でした。
りんご農家の三上津香子さん、野菜農園「ベジファクトリー佐藤」を主宰する佐藤郁也さん、地域密着型ジム「Action」の藤林直樹さん、コーヒースタンド「眼鏡珈琲」の三浦良介さん。
それぞれ自由な発想で地域に根ざした活動に取り組む姿は、ゲスト講師の在り方とも重なります。


藤崎でも若い世代による新しい動きが着実に生まれています。2期目は、そんな現場にふれたワクワクする一年でした。さまざまな世代や職業の方と出会うなかで、「私も、まちで何ができるかな?」と考えるきっかけが、自然と広がっていきました。
アカデミアで育まれた視点が、「ふじさきカメラ」という新しいかたちになって、まちの中で少しずつ広がりはじめています。
ふじさきカメラは、地域の魅力を伝えるだけでなく、そこに暮らす人の視点や行動を少しずつ変えていく……。そんな、あたたかくて前向きなプログラムへと進化しています。


写真家・ローカルフォト主宰
MOTOKO
ふじさきローカルフォトアカデミア講師。普段は東京・目黒区に暮らしながら、全国のまちを旅し、人に出会い、写真を通じて“まちのこと”を考える日々を楽しんでいます。